新刊

  • 金鱗の鰓を取り置く術
    大石凝真素美『真訓古事記』備忘録

    笠井叡著
    ISBN 978-4-911530-04-7 C0091 ¥13000E
    A5判並製 830頁
    定価(本体13000円+税) 2025年12月中旬発売

    ながらく入手困難だった大作を復刊!

    舞踏家、オイリュトミストの笠井叡が構想に十年、執筆に五年余の歳月をかけた大作。
    大石凝真素美を導きの糸に、古事記を言語創世神話として読み解く。古事記に記された日本語の古文法、カラダの中のコトバの骨格にコトバを与え続ける。

    笠井叡(かさい・あきら)1943年三重県生まれ。江口隆哉と宮操子にモダンダンスを、千葉昭則にバレエを学ぶ。63年、大野一雄、土方巽に出会い、65年「バラ色ダンス」、66年「性愛恩懲学指南図絵― トマト」等に出演。以後、66年のリサイタル「磔刑聖母」を皮切りに、多くの舞踏作品を発表。71年より天使館を主宰。多彩な舞踊家を輩出。79年から85年ドイツ留学、ルドルフ・シュタイナーの人智学、オイリュトミーを研究。94年「セラフィータ 鏡の性器を持つ私の女」で、15年間のブランクの後、舞台に復帰。その後、各界のダンサーと共演、多くの振付作品を発表する。2001年の「花粉革命」は日本のみならず海外でも高い評価を得た。2013年「日本国憲法を踊る」、2015年「今晩は荒れ模様」を発表。主な著作に『天使論』『聖霊舞踏』『神々の黄昏』『写真集・銀河革命』(現代思潮新社)、『未来の舞踊』(ダンスワーク舎)、『カラダという書物』『カラダと生命』(書肆山田)、写真集『透明迷宮』(平凡社)、『戦略としての人智学』(高橋巖との共著、現代思潮新社)などがある。

    目次
    第一章 などてすめろぎは人間となりたまいし

     昼の国と夜の国/自由・平等・博愛
     大石凝真素美──言語創成神話としての古事記
    第二章 祖語としての日本語
     天地開闢以来の語部局/国生み神事から太陽出現まで
     夜の国の出現と須佐之男命/常夜の国
     祖声としての日本語/三つの胚葉/胎児のコトバ
     あ お う ゑ い 五声について
     ス声から純粋閉音父声と三立て
     ドイツ語における開音から閉音へ/聴覚と祖声
     七十五声の真須鏡/神世の七代と天の沼矛
    第三章 天津神算木
     四原理/布止麻邇/八音階と天津神算木
     二柱神算木/認識の四つの階梯/声と神算木
     母声と同等子/円輪配座
    第四章 三種神器
    第五章 神霊元子
     連球絲呼吸
    第六章 境域とミイラ文化
     天火水地の四つのカラダ/視る神/死体文化
    第七章 神霊声と一柱神算木
     一柱の神算木/降臨と昇臨の二つの時間
     吸気における神霊声について
    第八章 大八島国
     降臨五柱/虚感覚と実感覚/感覚粘土板
     美斗能麻具波比/虚声と実声を懸ける橋/大八島国
    第九章 三種九品
     天地物の「結」について/類的肺
    第十章 外言・内言・双言
     外言/内言/双言
    第十一章 上結 中結 下結
     下結/中結/上結
    第十二章 三種九品をカラダに結ぶ
    第十三章 伊邪那美命の八つの雷
    第十四章 天照大御神と須佐之男命の御糶合──声の誕生
    第十五章 須賀の宮の建立
     八重垣宮/須賀の宮/胎児の四つの器官
     出雲の十六島/天孫降臨
    第十六章 人皇降臨
     胞衣石への受胎/声の遡行
     火遠理命の像世界について
    第十七章 天上昇臨  新しい鵜葺草葺不合朝
     呼吸─諸刃の剣/鵜葺草葺不合命の復活/植物呼吸
     正六面体の呼吸
     豊玉姫命の献る御歌 火遠理命の贈る御歌
     火遠理命の世界/番能邇邇芸命の世界/神声の世界
     番能邇邇芸命から、正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命に向けて
     単性生殖としての正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命の玉体

  • 文化のなかの野性
    芸術人類学講義

    中島智著
    ISBN 978-4-911530-03-0 C0039 \3500E
    四六判並製 406頁
    定価(本体3500円+税) 2025年11月下旬発売予定

    2000年の初版刊行以来、四半世紀にわたって読みつがれてきたロングセラーを復刊
    シャーマニズムの世界の体験と芸術創造の秘密を思索する。

    人間の「個」の精神世界の語り得ぬ深奥──人間の内なる「野性」の発見。
    アフリカのセヌフォ族や中国雲南省ナシ族との共同生活、沖縄やスペインそして日本各地での十数年にわたるフィールドワークをとおして得た貴重な体験──文字化されない人間のエッセンス──を言語化することができた初めての書。シャーマニズム的世界とアートに共通して認められる「創造空間」に言及した研究書。「野性の論理」と「愛の論理」を、透徹した優しい眼差しで、美術にたずさわるすべての人々に、自分探しに悩む若者に贈る!

    中島智 (なかしまさとし)1963年、倉敷生まれ。造形作家。
    西アフリカ・コートジボアール北部のセヌフォ族を皮切りに、沖繩・先島諸島、中国雲南省ナシ族自治区、スペイン・アンダルシア地方など各地で現地調査を行いながら、並行してして展覧会を開催。本書はこの十年間の研究を概観したものである。アビジャン国立美術大学客員教授、メラネシア民俗芸術館学芸員、名古屋芸術大学大学院講師、多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員、慶應義塾大学兼任講師、東京藝術大学非常勤講師などを経て、現在武蔵野美術大学にて芸術人類学講師。

    目次
    本書に寄せて――シャーマニズム研究の視点から/朴善姫


    第一講 サバンナの啓示――アフリカ
     introduction ――「目に見えるもの全て完璧」
     「勘」と勘違い――モダニストたちの素朴について
     仮面儀礼と鍛冶屋の火――文化の両義性について

    第二講 亜熱帯の精霊――琉球
     地球は女で回っている?――性差と性力について
     仮面儀礼とシャーマニズム――秘祭「アカマター神事」の諸相

    第三講 高原の思考――中国
     神話の詩学――陶酔と「外」の論理
     最後のシャーマン――即興的パロールと象徴的恋愛のジェネシス

    第四講 砂漠民の遺産――スペイン
     「楽園」形態の諸相――芸術家と修行者の「実践知」的世界観
     オリエントの化石――都市生態から診る聖地の構造

    第五講 飽和地帯のアルス――日本
     芸術は野性である――「他者」と「内なる他者」について
     「職芸民」と天文――眼力=身体性=暗黙知、あるいは「神人」のイストワール
     「巫術師」と人文――移入=官能性=変性意識、あるいは心の「一性」について

    第六講 「現代アー卜」の民俗(一)
     未決定的かつ超決定的な……――アー卜とシャーマニズムの相似性について
     観賞は解釈か、体験か、――有責性と無責性について
     温室の植生学――批評=仮想現実=「個」、あるいはシステムと私性の在処

    第七講 「現代アー卜」の民俗(二)
     〈私美術〉作家たち――内的衝動と絶対的個への超脱
     声の向こうのもう一つの声――通過儀礼としてのアートセラピーと私史について
     創造の秘密――「愛」と「忘却」と「反経験」の空間

    解説に代えて――美術と内なる野性/三頭谷鷹史
    あとがき

    装丁=本郷かおる

  • 石巻学vol. 10
    特集 布施辰治

    石巻学プロジェクト編
    ISBN 978-4-911530-02-3 C0039 \1500E
    A5判並製 242頁
    定価(本体1500円+税) 2025年9月中旬発売予定

     今年の参議院選挙ではアメリカファーストだけでもうんざりしているなか、「日本人ファースト」を標榜する政党が多くの国民の支持を得て飛躍的に議席を伸ばし、それに勢いを得て強まる外国人排斥の動きが活発化しはじめている。世の中は確実にいやな方向に進んでいる。こんな時だからこそ、布施辰治に蘇ってもらおうと考えた。
     10号という記念すべき号は、布施が掲げた理想のたいまつを受け継ぎ、語り継いできた人たちの軌跡も追いながら、布施が問い続けた弱い人たちの立場に立ちながら、正義を貫くという、いまの時代にこそ一番大事なことを見直すためだ。
     人間はみな平等で自由であるべきだという、当たり前の信条にしたがって、布施辰治は活動を続け、人々を助けてきた。布施がかかげた人類愛の理念は、布施亡き後も学者や教師、ジャーナリスト、古本屋、中学生、韓国の人々などたくさんの人たちによって語り継がれてきた。だからこそ布施辰治は蘇ることができるのである。
     布施辰治が生まれた石巻で、「石巻学」一〇号は、いままでたくさんの人がつないできたこのバトンをしっかり受けとめ、未来につなぐ一冊にしたいと思ったのだ。 (大島幹雄「蘇れ! 布施辰治」より)

    布施辰治 (ふせ たつじ、1880年(明治13年)11月13日-1953年(昭和28年)9月13日)は、宮城県出身の弁護士・社会運動家。1920(大正9)年、「自己革命の告白」を個人誌『法廷より社会へ』に発表、人権蹂躪、社会的弱者、言論弾圧、無産階級擁護の闘いに専念することを誓った。その活動は、アナーキスト・ギロチン社の弁護から、自由法曹団や解放運動犠牲者弁護団での活動にまで及んだ。日本共産党事件の弁護活動のなかで、1932(昭和7)年に弁護士資格を剥奪され、1934(昭和9)年には治安維持法に連座し、収監されるという弾圧をうけた。布施の活動は植民地台湾の農民運動や朝鮮での独立運動の弁護にまで及ぶ。布施辰治の墓碑銘には、「生きべくんば民衆とともに、死すべくんば民衆のために」と刻まれている。

    目次
    大島幹雄
     蘇れ! 布施辰治
    森 正 布施辰治に惹かれて五〇年
    大島幹雄(聞き手) 布施辰治に魅せられて――森正は語る
    阿部一彦 一人一人ができること
    黒田大介 山谷と酒と三十五反 追憶 櫻井清助
    猪股剛 古本屋櫻井清助について
    伊藤匠 石巻市博物館所蔵「布施辰治関係資料」の整理と活用について
    本庄雅之 蛇田に育まれた布施辰治
    伊藤匠 布施辰治と石巻
    松浦健太郎 布施辰治顕彰活動について
    伊藤匠 布施辰治未発表原稿「少数論」
    須能邦雄 布施辰治氏の人格形成の私的考察

    『石巻学』創刊一〇号記念トーク
    南陀楼綾繁+大島幹雄 地域誌の未来を探る

    特別寄稿
    阿部和夫 石巻公民館草創期における事業展開の一事例――市民に向けて欧米映画の提供を

    連載
    石巻さかな族列伝10
    高成田享 豊かな海を分かち合う 宮城県沖合底引き網漁業協同組合長 鈴木廣志
    本間家蔵出しエッセー10
    本間英一 石巻湊発展の礎 千石船と武山家文書
    復活の企業家列伝7
    古関良行 米倉純一さん(「かめ七呉服店」社長)
    介護の現場から4
    千葉祥裕 長屋門 光と影

    装丁=西山孝司(フラグメント)